日本財団 図書館


 

4単位だと、科目設置数が当然少なくなり、総合政策学部の売りである「科目の多様性」が失われてしまう。実際、中央の政策科学科の場合、政策系専門科目の設置数が慶應や立命館に比べ極端に少なくなっている。つまり、政策科学概論や政策過程論などを終了した後は、いきなり特殊な各論に入ることになる。慶應や立命館ではごく当たり前の「政策評価論」「政策形成論」「比較政策論」などがないのも、政策科学科としてはいささか物足りない。
また政策学科では、2年次以降、学生がA群(公共政策系)、B群(法律系)、C群(経済学系)のどれか1つの群の中から重点的に専門科目を履修できるシステムになっている。これは一見すると学生の自主性を尊重しているように見えるが、結局は伝統的な政治学・法律学・経済学という縦割りを総合政策学部の中に持ち込むことになりはしないだろうか。
(3)立命館大学政策科学部
大学関係者の間では、最近「東の慶應藤沢、西の立命館」が最も注目を集める存在であるという。両者はともに、大学改革の先頭を切っているだけでなく、既成学部の縦割りの壁を打ち破った内容の政策系学部を大胆に打ち出したという意味でも東西を代表する存在である。立命館大学政策科学部は、まだ設置されてから3年しか経過していないが、既に慶應藤沢(SFC)と同様、大学の看板学部になりつつある。またカリキュラムの多様性においても、SFCの総合政策学部に匹敵するかそれ以上のものがある。
大学のパンフレットを一見する限り、立命館は慶應と酷似している。つまり、「学生全員がノート型パソコン、マッキントッシュを所持します」(恐らく現在ではWindows95に変わっているのではないか?)とか「使える外国語能力を育成する」といった大学側のうたい文句は、まさにマスコミが報道するSFCの姿と瓜二つである。設置科目も慶應を意識したところがあり、かなり似ているといっていいだろう。
しかし、カリキュラムやその担当者を詳細に検討すると、やはりというか立命館の独自性が見えてくる。最初に注目したいのは、入学直後の1年春学期に必修科目として「政策科学入門」が設けられていることである。この2単位講義を通して、学生は外国人労働者問題、高齢者福祉問題、地球温暖化問題など具体的なテーマを題材として、政策をめぐる学問領域に挑む心構え、すなわち立命館流にいえば「政策マインド」を身につけるというわけである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION